オーディオブックを流す日々

オーディオブックを定期的に聞くようになったのは、日本の大学院に行っていた頃だった。とにかく通学途中の歩いている時間や乗り換えの細切れの時間に、耳から情報が入ってくるのが心地よく、割とスムーズに聴き始めた。

英語力を急にあげなくてはならないというミッションがあったので、日本で生活しながらも出来る限り日本語を排除する生活をしていたことも、当時は決して安くなかったオーディオブックを購入し始めた理由のひとつだった。電車の車内放送を耳からシャットアウトしたい、というのが理由で手を伸ばしたミルトンの『失楽園』が最初のオーディオブックだった。

通勤するような仕事をしなくなった今も、オーディオブックは割とこまめに聞いていると思う。座ってしっかり読もう、というのではないような本は家事をしている間に流しておくと1週間で2冊程度は読める(というか、聞ける)。アメリカ英語のものが多く、ものによってはイライラすることもあるのだけれど、しっかりとお金を払って買うようなオーディオブックは比較的それでも聴きやすい。

しっかりと読みたい文学、仕事で分析したい文学だったら、読み手の解釈が入ってしまうオーディオブックには都合の悪いところも多々あるのだけれど、そんなことの関係ない自己啓発本やマニュアル(ビートン夫人のHousehold Managementでさえ、オーディオブックになっている)、軽い読み物にはうってつけだ。

方言がやたら出てくる小説にもいい。

スコットランドアイルランドウェールズあたりの訛りは、強ければそれなりに判別できるけれど、読んでいる時にそれらのイントネーションがすんなり頭に浮かんでいるわけではないので、質の良いオーディオブックを聞くとそのあたりも楽しい。

 

著作権が切れている作品だったら、意外とマイナーなものまで入っていて無料で、ボランティアの朗読によって賄われているLibriVoxは、年々充実している。残念ながら質は(無料のものだから当然だけれど)まちまち。

LibriVox | free public domain audiobooks

 

 

2008年アマゾンに買収されたAudibleは、新刊だったら比較的安定したクオリティの朗読が手に入る。Audibleのサイトに行けば、朗読のレビューもあるので参考になる。

ただし、ファイルフォーマットがDRM付きでちょっと古いMP3プレイヤーだと再生できないのが難点の一つ。フォーマット変換用のソフトも売られているのだが無料ではないし、わりとすぐにDRMのフォーマットを変えられちゃうんじゃないか、という不安もある。

 

とはいえ、便利なのは、kindleと連動しているところで、昼間、途中まで家事作業をしながら聞いていて、夜、座って文字媒体で読もうとkindleを手にすると、だいたい聞いたところまで飛んでくれる。精度はそこそこなのだが、これはとてもありがたい機能だ。