小石を隠す——という、コミュニティ
イギリスの5月の最初の日曜日はバンクホリデー(国民の祝日)があって3連休になる。
GWほどではないけれど、それなりに特別な週末だ。
その週末に面白いアクティビティに出会った。
出会うなり、「イギリスっぽい」と思った。しかもやってみたら思いの外楽しくて、こんなに簡単で、お金がかからなくて、楽しくて良いのかと考えていたら笑っちゃったので、ご紹介したい。
そもそもの発端はFacebookだったらしい。
私は「イギリスっぽい!」と思ったけれど、もともとはアメリカにあった Love on the RocksというFacebookのグループが起源だとか。
やるべきことは簡単。
- グループのメンバーになる (Love on the Rocksだけでなく、住んでいる街にすでに街専用グループがある可能性があるので「街名+rocks」での検索を推奨)
- 小石を拾ってきて絵を描く(人によっては文字を書く場合も)などして飾る
- 小石の裏側にFacebookのグループ名を書く
- 近所の公園などに隠す
- Facebookに「隠したよ」と報告
- 見つけた人はページで報告
- 見つけた小石はもう一度隠すか、どうしても別れ難かったら家に持って帰って飾る
これだけの遊び、だ。
これが、楽しい。
子供と一緒にすべすべの小石を探すのも楽しいし、絵を描くのも楽しい。
小石を隠そうとすると普段歩き慣れた公園や森も突然新たな視線で見るようになるから新鮮だ。
そして、隠された小石を見つけたときの子どもたちの喜びっぷり!
物によってはものすごく手が混んでいて、大人だって見つけたらちょっとワクワクする。
中にはわけの分からないグジャグジャの線が描いているだけのものもあって、裏を見ると「エルシー 2歳」とか画伯の名前が書いてあったりもする。
普段の生活を大したお金もかけずに楽しくするアイデアは大歓迎だ。いいなあ、と思っていたら、どうやら私はトレンドからは遅れていた模様。
去年の10月にはすでにBBCがイギリスを席巻する新たなトレンド、として報道していた。
その前にも、8月にはハンプシャーで小石にポジティブなメッセージを書いては街の中に隠す女性の話が報道されていている。
こういう遊びの、どこがいいな、と思うかって、自分たちの住んでいる環境をほんの少し、特別にしてくれるからだ。
あちらこちらの小さな街が色々とサブグループを立ち上げているのが、流行の証拠で、例えばヨークシャーには大きなYorkshire Rocksというグループがあるけれど、他にも私の住んでいる街の周辺幾つかの街がすでに自分たちの街独自のグループを持っている。
普段の散歩が、そういうわけでこの週末は100倍楽しかった。
ちなみに私が置いた小石は、30分後、公園の反対側の川辺で見つかったとの報告がFacebook経由で届いた。そこにたどり着くまでに30分で何人の子供が手に取ったのだろうと、一人でにこにこしている。