Life in the UK Test その1

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早いもので、イギリスに引っ越してすでに2年目が近づいている。ということで、そろそろ永住権獲得の為に色々と書類を整える必要があるのだが、これはこれで、この数年、あれよあれよと言う間に制限が厳しくなっており、移民流入にたいするイギリス社会の緊張を感じては色々とため息が出る思いではある。

 

たとえば、結婚した直後は、二年間住んでいるだけで自動的に申請できた配偶者の永住権は、現在Life in the UKというテストに合格することが申請の必要条件となっている。これも、もとは「イギリスに住む為の基本的な知識を身につけ」「英語力があるかどうかを判断する」目的で作られたものだが、昨年秋からテストの合格に加えて「英語圏出身でない場合は英語力の証明を提出すること、も加わっている。イギリスの大学での学位がある場合は学位証をもって英語力の証明とできるから、個人的には関係ないのだが、やはり「年々厳しくして行っているな」という感覚は否めない。

 

このテストそのものについては、成立の経緯もあって、複雑な思いを抱いているのだが、可能性を持ったテストであることは否定できない。中学でやった公民と歴史の教科書を彷彿とさせる内容だけれど、とりあえずハンドブックには「役に立つ」情報が「多い」。

英語母語話者でなくても読めるようにと配慮されていて、後ろにはGlossaryもついているから、とりあえず、全くイギリスについて何も知らない非英語話者が簡単にイギリスについて知る為の教科書としては優れている。(歴史や文化については色々後でまた書く。それからあくまで政府刊行物であるのでParty Line臭は当然付いて回る)

イギリス文化や文学の研究者とはいえ意外と知識のとりこぼしがあるもので、たとえばスコットランド陪審員イングランドの12人とは異なり15人だということなど私は、恥ずかしながら知らなかったし、HannukahやEid al-Fitrはさすがに知っていたけれどEid ul AdhaやVaisakhiについてはこの本で初めて「へえ、そういう祭りだったのか」と認識した。

 

幸い色々な意味で恵まれた状況でこの国に暮らしているけれど、言語も文化も違う国に暮らすというのは色々とストレスのかかることだから、このハンドブックにある情報が命を救うような可能性だってなくはない。たとえば、写真にあるような項目。

明らかに家庭内で暴力を振るわれた場合、あなたには逃げ道がある、という情報が明示されているし、実際にどこに行けば助けが得られるのかも書いてある。この試験を受けないと永住権はとれないのだから、よほど深刻なDVのケースでない限り誰もが一度はシェルター関係の情報に出会うことになっており、それは良いことだ。配偶者の英語学習に消極的な夫婦のケースでも、とりあえず試験に受かる程度までの英語学習をさせなくては、という推進力はあるだろう。・・・・とりあえずは。

 

とはいえ深刻な例においては、この試験を受けさせないことで配偶者を常に「お払い箱にする」力をキープするケースもあるだろうし、周辺を調べると色々なケースが出てきそうなテストでもある。

 

 

イギリス政府が出している公式ハンドブックは日本のアマゾンでは取り扱っていない。

イギリスのアマゾンへのリンクはこちらキンドル版の関連書籍を下に紹介しておいたけれど、現物はもっと教科書じみている、と思う。