life in the UK3

というわけで、実はもうずいぶん前になるのだが、6月13日、金曜日にLife in the UKテストを受けて来た。よりによって13日の金曜日で験が悪いと言えばそうなのだが、幸い天気はよく、リーズまで電車でえっちらおっちら出かけて行った。

出かけて行って気づいたのだが、私がやたら移民の少ない地元の小さな町の小さな書店で買ったハンドブックは2013年のもので、リーズの大書店ではもちろん最新版2014年のもののみが、綺麗に並べてあった。内容がさほど変わっている訳ではないのだが、試験を受ける前からなんだか出ばなをくじかれたような気分でとぼとぼと会場に向かい、場所を確認し、一時間の待ち時間を近くの喫茶店で最終確認をしながらすごす。しかし、地元の図書館においてあったハンドブックも数年前のものであったと記憶しているし、何よりも毎年アップデートしているとは思わなかったのだった。

 

 

2012年にロンドンオリンピックがあったこともあり、私のハンドブックにはやたら金メダルを取ったスポーツ選手が羅列してあり、実は頭痛の種だった。人間、興味がないものというのは覚えるのに苦労するもので、他の情報はともかくスポーツ関連だけは本当に頭に入ってくれないのだ。

人名とその功績を丸暗記しながらなんとも暗い気分になっていたのだが、どちらにしても締め切り時間は来て、会場へ向かう。

 

会場は小さなWindows XP(!)の並ぶ一部屋で、愛想の良い中国系(のように見える/聞こえる)女性が受け付けてくれた。とにかく部屋の温度が高く、眠気を誘いそう。既に十人程度の受験者が待っていた。中東系が場所柄多く、アフリカ系が一人、極東が私も含め二人。

 

試験を受けるまでは気づかなかったのだが、実際の試験には読み上げ機能がついていて、ボタンを押すと男性、または女性の声で設問と選択肢が読み上げられる。

どちらもRPであるように私の耳には聞こえた。わかりやすい、はっきりとした発音だ。実際の試験では私の問題は6割ぐらいが男性の声で読まれていた。何らかの法則性があるかと女性の声と男性の声の設問の内容にも気を配ってみたけれど、おそらくランダムか。

45分の持ち時間で24問の質問。家で模擬テストをしたときには4分かからずに答えられる量の問題だ。この設問で、75%とることが要求されている。

 

さて、実際のテストは、模擬テストよりもずっと素直な設問が多かった。一問だけややひっかけているかと思われる設問があったけれど、おそらく全部とれているはず。4分経たずに終わり、見直しもしながら設問を種類分けした。大きく分けて「歴史」の設問と言えるものが8問。三分の一だ。価値判断に関するものが1問。他は地理であるとか、法制度など。

 

そもそも歴史セクション以外にも歴史情報が多く入っていたハンドブックではあるのだが、それにしても歴史の問題は多い。

 

不思議なことに教育制度に関する情報は驚くほど欠如している。フリースクールが作れますよ、であるとか、学校にボランティアとして関わりましょう、とかはあるのだが、GCSEとは何か、Aレベルとは何かOfstedとは何か、といった、全く異なる教育システムから来た人間が良い学校を選び、子供の教育環境を整えるための情報はすっぽりと抜け落ちているのだ。

 

ちなみにアダルトエデュケーション関係の情報も抜けている。たとえば、GCSEやAレベルは取り直せる、であるとか、どこに行けばもう一度勉強しなせるのか、だとか、本国で受けた教育がこちらで評価されない場合どういう学位の取り方があるのか、といった詳細な情報がないのはともかく、「ここで相談できますよ」と窓口だけでも書いてあっても良さそうなものだが、それもない。

ヘンリー8世の妻で子を産んですぐ死んだのは誰か、というような問いに正答を出せる移民であればそのような情報は簡単に入手できるだろう、ということではあるのかもしれない。

 

コンピュータで行われる試験で、しかも試験会場からメモ等の持ち出しも不可なので、アカウンタビリティが低く感じられる、というのが終わってすぐに持った印象だった。45分かかる人などそう多い訳でもなく、みんな待合室で最後の受験者が終わるまで待つのだが、受験者がいる限りにおいては話をする訳にも行かないので、お互いにどのような設問に答えたのかはわからない。

本当にランダムに出題されているのか、受ける人間の出身国などでふるいわけがされていないのか、市民権と永住権で問題が違わないか等、監査されているのか、疑問が頭の隅をよぎる。とんでもない奇問を作ることも可能なハンドブックで、実際に模擬試験には奇妙というしかない問題がそれなりにある。難問奇問の割合を多くすることで合格者を減らすことは可能だよな、とは思う。

 

待合室でもう一人の受験生が「去年は受験料30ポンドちょっとだったのよ。今年は50ポンドで、そのうえ英語の試験を受けろとか・・・・」とため息をついているのを聞き、ああ、と思っていたら名前を呼ばれた。

 

合格。ぺらぺらの合格証書をもらい、サインをして、帰宅。これで一関門を超えたことにはなる。