鏡の家の恋人ーワーズワース

 

 コバルト文庫を開けてワーズワースの伝記をもとにした小説にぶちあたるとは思っていなかったのでかなり面食らった。

 

人気のシリーズの短編集に所収されている「鏡の家の恋人」という短編が、ワーズワースの妻、メアリー・ハチンソンの目から見た兄妹の関係を中心に描かれている。二人の関係が、兄妹というだけでなく二人の芸術家の関係でもあるということを軸足に話が進んで行く。

 

『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』は「19世紀イギリス風味?」という感じで始まったシリーズが巻が進むにつれ、だんだん伏線が発展して行き、重厚な雰囲気になって行くのでこの短編が入っていてもあまり違和感がない。