クリスマスの終わり
正月はたいしたイベントではないイギリスでは1月の2日にもなれば、すでにどこもかしこも通常営業である。
が、実はクリスマスはまだ続いている。
12月25日には早々にツリーが片付けられ、しめ縄が飾られる日本にいた頃にはしばしば「え、まだツリーがあるの?」と驚かれたものだけれど、そもそもクリスマスツリーはクリスマスイブから1月6日の顕現日まで飾っておくべきものなのだ。
我が家では子供達が待ち望むこともあって、アドヴェントが始まったら適当な時期にツリーを飾り始めるけれども、飾りをおろすのは出来ればやはり1月6日まで待ちたい。
現実問題として掃除機はかけにくいし、飾りは落ちるし、結構面倒と言えば面倒なのだが。
1月6日は、東方からメルキオー、カスパー、バルサザールの三博士が贈り物を持ってイエス・キリストを訪れた日にあたる。その前夜の1月5日はいわゆる「12夜」(クリスマスの12日目の夜)のお祭り日である。もっとも昔はともかく、この日に大騒ぎをするようなしきたりは今ではとんと聞かないのだけれど。
とにかく6日をもって、イエスは神の子として異教徒にも示されたことになり、宗教的には一つの区切りになるわけだ。
大人達は普通に仕事に行く忙しい日常がかえって来たのに、家の中にはまだツリーが鎮座している。当然のことながら街角のクリスマスツリーもまだぴかぴか光っているし、今日の時点ではまだクリスマスリースもドアに飾られている家の方が多い。
もうすぐ4歳の下の子供は飛行機雲を固くサンタの橇のすべった跡だと信じていて、目を皿のようにして空を見上げている。クリスマスは終わったような、終わっていないような、不思議に中途半端な時期である。
とはいえ、この時期が終わると、身を慎む大斎節がやって来て、息抜きのマザリングサンデー、そしてイースターまでしばらく大きなお祝いはなし。ちょっとぐらいクリスマスの空気が町に残っているのはそれはそれで悪いものではないような気がする。
「あ、ママみて!サンタさん、おうちにかえっていったよ!」と、一日に5回ぐらいは袖を引っ張られながら、とてつもなく忙しいクリスマス休暇は、やっと終わろうとしているのだな、と思う。北国もこれで、だんだん日が長くなって行くはずだ。気が早いはなしだけれど、それはとても楽しみなことではある。