浮世絵師が主人公の漫画『ひらひら』

 

ひらひら 国芳一門浮世譚

ひらひら 国芳一門浮世譚

 

 ブログの趣旨から外れるので紹介するかどうか随分迷っていた漫画ですが、これ、年末に読んで「がつん」とされたみたいな気分になりました。圧倒されるような大傑作って言うんじゃないんですが、とにかく渋い。

 

江戸を舞台に浮世絵師を主人公とした群像漫画といえば、もう掛け値なしに傑作の杉浦日向子百日紅』があるわけですけれど、『百日紅』が若い女性の話だとすれば、『ひらひら』は男性の話。

 

なにか訳ありの「お武家さんかな?」という主人公が荒んだ目をして国芳の門下に入る。彼がだんだん立ち直って行く様子と同時に暴かれて行く残酷な過去。端的に町人と武士との間で表れる性に対する態度の違い。

そして飄々とした様子で主人公を庇って行く国芳、と。

 

ここに描かれている江戸がどの程度正確なものなのかを判断する知識を残念ながら私は持ち合わせないのですが、説得力がある。派手ではないのにとても丁寧に出来上がっている感じ。 小説も漫画もたくさん読むのですが、これは読んで数ヶ月して、ふと「これ、読んだなあ」と思い出す漫画でした。

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (上) (ちくま文庫)

 

 

 

百日紅 (下) (ちくま文庫)

百日紅 (下) (ちくま文庫)