『三びきのヤギのがらがらどん』の「どん」

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最近とみに英語での発話が出るようになった下の子が、夕食の席で「悪いヤギがいて」「橋の下にひとがいて」「わあってこわかった」、と言う。

一体それはなんだ、と夫は首をひねっていたけれど、いくら羊だのヤギだのがうろうろしているこの近辺でも、ヤギがらみで怖い思いをするようなことはそうそうあるまい、とこの本を出してきた。

The Three BIlly Goats Gruff--日本語では言わずと知れた『三びきのやぎのがらがらどん 』である。

英語圏でもそこそこ馴染みのある話だから、保育園で誰かが読んでくれたのだろう。

日本ではこの絵柄の絵本がとても馴染みの深いものだろうけれど、イギリスでは滅多に見かけることがない、古いアメリカの絵本がもとではある。

 

ずっと「がらがらどん」とは、どん、までが名前で、全てが擬音語なのだろうと思っていたのだが、こうして英語で読んであげていると、実は最後の「どん」は、昔話でよく出てくる「との」の変形(たとえば「くまどん」「うさぎどん」のような)であることに気づく。

Gruffを「がらがら」と訳すのは順当だけれど、「どん」にあたるものはどこにもないからだ。

 

でも「三びきのヤギのがらがらさん」であるとか、「がらがらくん」であるとかでは、どうしてもおさまりが悪いしリズムも良くない。小さな子供に読む絵本はリズムと音の楽しさが命のようなところがあるので、「がらがらどん」と訳したのは本当に素晴らしい、と思う。今だとちょっと時代的にこういう訳は難しい気がするけれど。

 

The Three Billy Goats Gruff

The Three Billy Goats Gruff