必ずしもキリスト教国ではない、イギリス

 

f:id:ayoshino:20150528200002j:plain

"John Sentamu" by York Minster - Flickr. Licensed under CC BY-SA 2.0 via Wikimedia Commons

 

BBCから「イギリスはまだキリスト教国か」という記事が出た。

別に驚くほどのこともなく、キリスト教の力はヨーロッパではどんどん衰退していっている。アメリカはいわゆるバイブルベルトがあるので、アメリカだけを見ていて「欧米はキリスト教」と一緒にくくっていると、おそらく足をすくわれる。キリスト教はむしろ、今では南米やアフリカ諸国で盛んに信仰されている宗教という印象が年々強くなっているし、実際にレポートでもイギリス国内における特にカソリックがいかに移民によってサポートされているかが指摘されている。

 

まだまだ6割を遥かに超えるイギリス人が自分を「キリスト教徒である」とするこの国だけれども、多くのイギリス人達にとって宗教的な場としての教会は結婚式、洗礼式、葬式、そしてクリスマスぐらいにしか顔を出さない場所であって、そのあり方は日本の初詣や葬式のあり方を思い起こさせる。

 

ちなみに、現在のヨーク大司教ジョン・センタムケンブリッジで神学を学んだウガンダ出身の司教である。ヨーク大司教は、カンタベリ大司教についで、英国国教会ではナンバーツーの権限を持つ重要なポジションだ。

 

すでに定期的にモスクに行く人口は定期的に教会に行く人口を上回るのではないかなどと言われて久しいイギリスだ。2004年に「週に一度はモスクに行く」、と答えたイスラム教徒の人口が930,000人。同年に英国国教会に定期的に礼拝に行っている人口が916,000人だから、イギリスにおけるキリスト教の位置はある程度推測がつくだろう。(ちなみに、英国国教会には行かなくても、カソリックや、クエーカー、メソジスト、長老派やルター派ギリシャ正教ロシア正教 などなど・・・の可能性もないではないので、「キリスト教徒」人口でくくれば少しは数が増えるはず、ではある。)

それでは宗教は日常生活の中で重要な位置を占めないのかというと、そんなこともなくて、各国からの移民も多ければ、人口的には少ないイスラム教徒には熱心な信者が多いので、十分以上に宗教は生活の一部だし、センシティブな対応が求められることも多い。

 

宗教が重要ではないのかといえば、実は非常に重要であり、とはいえ、白人=キリスト教徒のような簡単な図式に嵌め込むことも、当然のことながら既に出来ないイギリスの現状は非常に面白い。